退職代行体験談

自由業なのに自由がない

退職代行で保険営業を辞めた、私のリアルな選択

「自由に働けるはずだったのに、気づけば時間にも心にも追われる毎日でした」

そう語るのは、保険代理店で長年営業職として働いてきた中山彩さん(仮名・46歳)。業務委託という「自由な働き方」を選んだはずが、いつの間にかノルマや生活費への不安にがんじがらめに。家庭と仕事の板挟みになりながら、それでも「辞める」と言えない日々――。

そんな彼女が最終的に頼ったのが「退職代行」でした。
「自由業だからこそ辞めづらい」、そんな現実の中で、自分を取り戻すまでのリアルなお話を伺いました。

体験者プロフィール

中山 彩(なかやま あや)さん|46歳・保険代理店(業務委託)

保険営業を続けてきたが、安定した収入が得られず、生活がギリギリに。教育費がかさむ中、将来を考えて別の仕事に移りたくなった。契約ノルマのプレッシャーに眠れない日々が続いた。

退職届でない仕事で感じた限界の中でネットで見つけた退職代行の選択肢

「自分で選んだ働き方」だったのに、自由じゃなかった

─まず、中山さんがこの仕事を始めたきっかけを教えてください。

もともと、子どもが小さかったこともあって、「時間の融通がきく仕事」を探していたんです。保険の代理店業務なら出社も不要で、働く時間も自分で決められるって聞いて、「これだ!」と思って始めました。実際、最初の数年は本当にありがたかったですね。

自由な働き方ができる、理想的な環境に思えます。

そうですね、はじめは「自分のペースで働ける」って感じでした。でも、成績が伸びない月が続くと、上司からの電話やLINEのプレッシャーがすごくて。「紹介は取れた?」「今月の目標、どうするの?」って、1日に何度も連絡が来るようになりました。

業務委託でも、そんなに追い詰められるんですね…。

はい。契約を取らないと、報酬はほぼゼロですし。月によっては3万円とか、正直、生活もギリギリで。教育費もかかってくるし、「辞めたらどうやって暮らすの?」って思うと、やめたくても言い出せませんでした

誰にも相談できず、一人で抱え込んでいたんですね。

はい、家族には心配かけたくなくて。子どもには「お母さん、最近いつも疲れてる」って言われてしまって。寝ようとしても、翌朝の数字のことが頭から離れなくて、夜中に目が覚めてしまうことも増えました

退職代行を使おうと思ったきっかけは?

スマホで「仕事 辞めたい」って検索したときに、退職代行の広告が出てきたんです。最初は「正社員じゃないのに頼めるの?」と思いました。でも無料相談してみたら、「業務委託でも対応可能ですよ」って、すごく丁寧に説明してくれて。もう、自分ひとりでは何も言い出せなかったので、お願いすることにしました。

実際のやりとりは、どうでしたか?

全部LINEでできたので、すごく気が楽でした。細かい契約内容の確認とかも代行の方が丁寧にやってくれて、私自身はもう何も言わずに済みました。数日後には、「もう連絡は不要です」って言われて、本当にホッとしました。

その後、会社や上司から連絡はありましたか?

一切なかったです。引き継ぎのこととか、契約解除の手続きも全部お任せで済みました。あんなに怖かったのに、終わってみたら、あっけないくらいで…。もっと早く相談していればよかったと思いました。

退職してからの生活は、いかがですか?

すごくラクになりました。最初は収入が減ることが怖かったけど、今は短時間の事務パートを始めて、子どもと夕飯を一緒に食べられるようになったのが嬉しくて。お金よりも、「ちゃんと眠れる」とか「笑える」ってことのほうが、今は大切に思えています。

最後に、同じように悩んでいる女性たちに伝えたいことがあれば教えてください。

「自由な働き方=自分らしく働ける」って思ってたけど、実際にはそうじゃなかった。誰にも頼れず、一人で抱え込みやすいのが業務委託や個人事業の怖さだと思います。でも、自分で選んだ道でも、苦しくなったら変えていい。立ち止まってもいい。

退職代行って聞くと、逃げみたいに思われがちだけど、私は「やっと終わらせられた」っていう安心感の方が大きかった。何かを始めるには、まず「やめる」ことからだって、今なら言える気がします。

「自由な働き方」と「孤独な責任」は、紙一重です。
中山さんが選んだ「終わらせる勇気」は、新しい働き方のはじまりでもありました。

仕事に疲れきっているあなたにとっても、退職代行は、ただの「最後の手段」ではなく、自分の人生を選び直す手段のひとつかもしれません。

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