退職代行って、正直どうなの?
「若い人が使うものでしょ」「50代がそんなの使うなんて…」なんて思っていませんか?
でも実は、長く働いてきた人こそ「辞めたいのに言えない」「辞めづらい」って思いがちなんです。
今回お話を聞いたのは、自動車部品メーカーで30年近く働いてきた長谷川剛さん(50歳)。
定年まで頑張るつもりだった彼が、なぜ退職代行を使って会社を去ることにしたのか――
「もう限界だった」
その言葉にこめられた思いを、ぜひ知ってほしいと思います。
体験者プロフィール
長谷川 剛 男性50歳
自動車部品メーカー・品質管理 正社員
50代と言う年齢もありリストラの対象にならぬよう定年まで耐える覚悟だったが、管理職不在の現場でのしわ寄せやパワハラがエスカレートし、心身に異常を感じた。家族にも心配され30年近く勤めた仕事を退職することを決意。すがるような思いで退職代を利用した。
定年まで耐えるつもりだった
長谷川さん、まずはこれまでのお仕事について教えていただけますか?
はい。自動車部品の製造現場で品質管理の仕事を30年近くやってきました。出荷前のチェック、不良品の分析、現場への指導などが主な業務です。
──長くひとつの職場で働き続けるって、本当に大変なことだと思います。「正直、何度も長谷川さん:きつい時はありましたけど、「ここで辞めたら後がない」という気持ちで踏ん張っていました。50代にもなればリストラの対象にもなり得ますから、「耐えるしかない」と自分に言い聞かせてきたんです。
そこから状況が変わっていったんですか?
それから現場の管理職がどんどん辞めていくという状況になりました。
結果として現場の負担が大きくなってきて毎日夜遅くまで働いて休日出勤も増えるようになってきたんです。
退職を考えるようになったきっかけは何だったのでしょうか?
現場に余裕がなくなってきて精一杯やってるのに「もっとやれ」というような叱責が続いて、それがどんどんひどくなってパワハラまがいの日が続くようになりました。
心身への影響もあったのですか?
はい。夜も眠れなくなり、食欲もなくなり体重も落ちて、出勤前になると手が震えるように。
「これはまずい」と感じました。でも、自分から辞めると言うことすらできないほど追い詰められていたんです
それは相当きびしい状況でしたね。そこまで追いつめられると自ら動く気力もなくなりますね。
そこで「退職代行」の選択に至ったのですね。
そうなんです。家族からも「このままだと倒れるよ」と心配されて、やっと退職についてネットで調べ始めました。退職代行という言葉は知っていましたが、まさか自分が使うなんて思ってもみませんでした。でも、その時の自分には退職代行と言うことばが“命綱”のように思えたんです
退職代行を実際に利用してみていかがでしたか?
本当にありがたかったです。代行業者が会社とのやりとりを全部引き受けてくれて、私はもう一切関わらずに済みました。精神的な重荷がなくなったように感じました。
追い詰められた状況で退職のやりとりも大変ですよね。
本当に助かりました。退職代行がなければ今頃どうなってたかそうぞうするのも怖いです。
その後は会社からは何か連絡ありましたか?
いいえ。退職届も郵送で済みましたし、離職票が郵送されてきただけでした。
それはゆっくりできましたね。
本当にあっけないぐらいに簡単に終わって、これならもっと早く決意すればよかったと思いました。
退職後、心境に変化はありましたか?
最初の数日は何も手につきませんでした。でも、少しずつ“生き返る”ような感覚があって…。今は、健康を取り戻しつつ、次の人生をどうするかを前向きに考えられるようになっています。
前向きな気持ちになれたのは本当に良かったですね。最後に、退職を考えてこの記事を読んでいる方に伝えたいことはありますか?
「辞めることは逃げじゃない」と、声を大にして言いたいです。我慢が美徳みたいに言われるけれど、心や体が壊れてしまったら元も子もありません。
退職代行という仕組みがあることで救われる命もあると私はそう思っています。
辞めて次に進めるようになるならそれは自分を取り戻すことと同じだと感じました。
本日は貴重な体験談ありがとうございました。
耐えるだけが正解じゃない
退職代行というと「甘え」や「非常識」と思われることもありますが、今回の長谷川さんの話を聞いて、それが“必要な逃げ道”であることがわかります。
会社を辞めるのは、決して悪いことではありません。まして、健康を犠牲にしてまで働く必要はないのです。
今回の長谷川さんのように辞めるという決断の結果、前向きな気持ちになれたら次の人生も見えてきます。
もし今、あなたがつらい気持ちを抱えているなら、「自分を守る選択肢」があることを、どうか忘れないでください。
このケースの長谷川さんもそうであったように心身ともに疲弊しきっている人にとっては「退職する」ということを伝えるだけでも相当な負担になることもあります。
そんな時、退職代行は強い味方になってくれるでしょう